機能性表示食品による予防効果は信用できるのか

機能性表示食品のパッケージをよく見てみると、これを摂取していたら病気の予防になるのではないかと思ったことはないでしょうか。機能性表示食品は効果効能があると示されているのが魅力的な食品です。ただ、摂取を続けたら本当に予防効果が得られるのかが疑問になる人もいるはずです。

どのように予防効果について理解したら良いのでしょうか。

機能性表示食品には科学的根拠がある

ある病気にかかりにくくなる、ウイルスや細菌などによる感染を受けにくくなるといった際には予防効果があると考える人が多いでしょう。機能性表示食品の表示内容を見たときに、それなら予防になると思うケースがあるのはもっともなことです。

通常、食品には効果効能を表示することが認められていませんが、機能性表示食品の場合には表示が認められているからです。機能性表示食品は消費者庁に届出をして受理されることにより、届出をした表示内容をパッケージなどに付けられる仕組みになっています。

そのため、予防を意味するような文言を表示しているケースが多々あるのです。ただ、根拠もなく表示ができるルールになっているわけではありません。日本では機能性表示食品制度を整えて厳密なルールに従って消費者庁による受理がおこなわれています。

科学的根拠を示すことが機能性表示食品には求められていて、その根拠に基づいて表示内容がもっともなものだと言えなければ受理されません。機能性表示食品の届出をする場合には科学的根拠を集めて、消費者庁を説得しなければならないとも言えるでしょう。

つまり、機能性表示食品が表示している内容には科学的根拠があり、効果効能が発揮されるとわかっているのです。信用性や信頼性という意味では表示内容は安心できると言えます。

機能性表示食品に予防と明記されていないことは多い

機能性表示食品の表示内容を見て病気や感染の予防になるのではないかと思った人は、もう一度、表示内容を見てみましょう。その表示に予防という言葉が使われているでしょうか。実際には機能性表示食品の表示内容には予防という言葉が使われていることはあまりありません。

医薬品の場合には病気の治療や予防を目的として開発されているため、添付文書を見れば明確に治療や予防の効果効能について記載されています。しかし、機能性表示食品は医薬品とは違って病気の治療や予防を目的としているものではありません。

特定の病気についての治療効果や予防効果については届出をしても受理される可能性が低いのです。機能性表示食品が病気の予防になると思ったのは、免疫力について書かれていたり、特定の器官や臓器についての記述があったりしたからではないでしょうか。

その表示内容から解釈をして、この病気の予防になるのではないかと考えたのでしょう。確かな関連性があれば予防効果がある可能性もありますが、必ずしも科学的根拠があるわけではありません。表示内容から類推される内容だったとしても、表示されていない限りはメーカーも責任を負わないので注意が必要です。

予防効果がなかったからといってクレームをつけることはできません。

『機能性表示食品は受理までの期間が短い?要件や修正など詳細を解説!』

機能性表示食品の予防効果は根拠を見て考えよう

実際には免疫などに関与することがわかるような表示内容なら感染症の予防になるのではないかと思うでしょう。特定の臓器の機能を維持するという表示内容だったら、その臓器の機能を低下させるような疾患の予防になると考えるのももっともなことです。

実は機能性表示食品の表示内容の科学的根拠を見てみると、感染リスクが低減されたことや、病気が発症する頻度が低下したことが示されていることがあります。人を対象として臨床試験を実施していて、明確に予防効果があるとわかる場合もあります。

ただ、機能性表示食品だけでなく医薬品でも同じですが、誰もが100%の予防効果を得られるわけではありません。ワクチンですら100%の予防はできないのは知っている人もいるでしょう。予防効果は万全とは言えないため、機能性表示食品に「この病気の予防ができる」という表示をして、絶対にその病気にかからないと誤解されてしまうのは問題です。

このような形でクレームが発生しないようにするためにも、明らかな形で予防とは表示しないのが一般的になっています。ただ、根拠を見てみれば予防になることがわかる場合も決して少なくありません。

科学文献まで見る必要があるのか

機能性表示食品の予防効果について確認したいときには、データベースを参照するとどの科学文献に記述があるかを調べることができます。ただ、科学文献となると英語のことも多く、一般の人には読むのが大変です。また、有料で取得が難しい文献のことも稀ではありません。

このようなときに科学文献まで見なければならないのかというと、そうとは限りません。機能性表示食品のメーカーは科学的根拠があるのをセールスポイントとして販売を促そうとしています。そのため、メーカーのホームページに行くと効果の科学的根拠について説明していることが多いのです。

その内容を見ても予防効果についてわからないときには、カスタマーセンターに問い合わせると説明をしてもらえることもあります。予防効果があるかどうかを知りたいと思ったならメーカーからの情報を積極的に活用しましょう。

『機能性表示食品が増加している理由とは』

予防には生活習慣の改善も大切

科学的根拠まで見てみると機能性表示食品の中には予防効果が期待されるものも見つかるでしょう。ただ、機能性表示食品の摂取を続けていれば誰もが完璧に予防できるわけではありません。あくまで病気になるリスクが下がると期待できるだけなので、抜本的な改善も考えることが大切です。

病気になるリスクを下げるには生活習慣を見直すのが効果的です。生活習慣病も感染症も、健康的な生活を送ることで予防できることが知られています。不摂生な生活を送っている人は少しずつでも改善することで予防になるでしょう。

機能性表示食品は補助をして使用していき、病気に悩まされない生き方をしていくようにしましょう。

機能性表示食品の予防効果はきちんと理解しよう

機能性表示食品の表示内容には病気の予防について直接的な記述があることはほとんどありません。内容から消費者が類推して予防効果があるのではないかと考えている場合が多いのです。ただ、表示内容の科学的根拠を見てみると予防効果が示されていることもあります。

本当に予防になるかが気になったときには根拠から理解をするようにしましょう。