機能性表示食品は受理までの期間が短い?要件や修正など詳細を解説!

機能性表示食品は特定保健用食品と比べても、受理までの期間が短い傾向があります。具体的には9~12ヶ月ほどで販売できることが多いため、最低でも12ヶ月かかる特定保健用食品ではなく、いち早く販売するためにもこちらを選ぶ事業者が増えている状況です。

それでは、他の保健機能食品と要件や、修正に必要な手順がどう違うのかなどを解説していきます。

『機能性表示食品が増加している理由とは』

機能性表示食品が受理されるまでの期間

機能性表示食品を受理されるまでには一定の時間がかかります。消費者庁が規定しているルールでは事業者が届出資料を出してから、50日以内に公表するルールです。もし不備があって、再提出となった場合にも50日以内に差し戻ししなくてはなりません。

一方で再提出した届出資料の場合は30日以内となっています。この場合も同様に、差し戻しは30日以内です。こうして見ると受理されるまでに1~2ヶ月と早いように見えますが、実際には届出書類を作成するために時間がかかるため、9~12ヶ月ほどかかる計算になります。

3つの保健機能食品の受理までの期間

非常に審査が慎重で、時間がかかるようにも思えますが、保健機能食品の中では受理までの期間は短い部類に入っています。保健機能食品とは特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品の3つがあり、このうち、消費者庁への届出が必要になるのは特定保健用食品と機能性表示食品です。

栄養機能食品に関しては届出や許可は不要ですが、認められる成分は限られており、あらかじめ決められた表現(文言)しか使用できません。特定保健用食品(トクホ)は特に知名度が高く、消費者から信頼性を持たれやすいため、多くの食品企業がこのトクホ取得を目指します。

しかし受理されるまでに非常に時間がかかるのです。(12ヶ月~長くて2年)。つまりそれだけ審査が厳密で必要な書類も多く、時には再提出が多いということです。消費者庁長官の許可が必要であったり、安全性など個別審査が必要だったりする点も、受理までの時間がかかる要因となっています。

その中で2015年にスタートした機能性表示食品の、事業者からの人気は上がっており、これは長くても12ヶ月でスピーディーに商品販売につなげられる点が魅力となっているからです。関連情報-薬事法ドットコム|機能性表示申請

実際に2020年の終わりまでに、約3,700件の届出が各事業社から出ています。トクホの宣伝効果は確かに大きいのですが、機能性表示食品のステータスは上がっています。ただしトクホのように専用の「マーク」がないので、目立たない傾向はあります。

安全性と機能性といったエビデンス(根拠)の資料が揃っていれば、届出のみでOKという点が、スピーディーな受理につながっているのです。しかし不備による差し戻しは少なくなく、むしろ当たり前に起こると思ったほうがよいでしょう。

商品パッケージも厳密にチェックされる

機能性表示食品の審査において、特に重要なのがエビデンスです。つまり科学根拠が重要というわけで、消費者庁の担当者は国内外の論文を照らし合わせて、不備がないかを判断します。市場に流通し、多くの消費者が実際に口にするものなので、それだけしっかりした審査が必要というわけです。

他にもいくつかの審査ポイントがあります。エビデンスは一番重要と説明しましたが、他にもパッケージの審査も厳しい内容です。不思議に思われるかもしれませんが、デザインではなく、書かれている機能表示に対して厳しくチェックしているのです。

表現の仕方によっては、機能性を消費者に誤解される恐れがあります。薬事法に抵触する恐れがあるため、この点も担当者は厳しくチェックします。薬事法とは、消費者を守るための法律でもあり、紛らわしい表現はご法度というわけです。

エビデンスの審査に使われる手法

商品販売日の60日前(約2ヶ月前)までに販売事業者は、届出番号を「受領」する必要があります。この60日間というのは、消費者庁ホームページに掲載する機関のことでもあり、この仕組みを販売前届出制度と言います。

ホームページは誰でも閲覧できるため、掲載することで国民がアクセスして、広く確認できる状態を作ることになります。この際に何も問題が誰からも提起されなければ、商品販売してもよさそうという、一種の最終チェックになっているのです。

事業者が届出をする際の流れとしては、まずパッケージにも出される機能性表示を伝えます。そしてその機能性のエビデンスを用意します。エビデンスには「成分エビデンス」と「機能性エビデンス」といった種類があり、機能性エビデンスにおいては大きく分けてRCTとSRという評価手段が主流です。

RCTとはランダム化比較試験とも呼ばれている手法で、対象商品と全く違う商品を口にしてもらい、どういった結果が出るかを確認するものです。医療品においても、世界中で信頼性の高い手法として認識されています。その結果を論文にまとめ、審査の必要な雑誌に掲載されることで一定の客観的な評価を確認したことになります。

SRとは研究レビュー、総合的文献調査とも呼ばれる手法です。国内外の論文を検索し、表示したい機能に関係する論文を集め、測定結果などをわかりやすくまとめ、それをエビデンスとします。非常に難解で煩雑な内容となっていますが、機能製表示食品の審査での根幹はやはり、機能性のエビデンスをしっかりと確認することなのです。

事業者が機能的表示食品を活用する意義

対人間への臨床試験が一番時間もかかり、長くても3ヶ月はかかる状況となっています。エビデンスを提出しても、雑誌掲載までラグがありますから、6ヶ月ほどの期間が必要となります。毎日発刊される新聞とは違い、雑誌は月刊が主流ですから、すぐ掲載というわけにはいかないのです。

最低でも6ヶ月かかるので、トクホの場合はもっとかかってしまいます。時代によって栄養食品のニーズは違います。現在では、体の免疫向上に寄与し、病気になりにくいことを望む消費者が多い傾向です。そのため各社から免疫にフェードした機能的表示食品の申請が増えています。

同時期に提出されるので、一見似た内容の商品が増えます。その際に、できる限り早く販売開始した商品が有利になります。機能的表示食品や栄養機能食品は比較的早く販売できるため、機会損失を生みにくいです。トクホを取得すると大きなアピールになるので知名度向上につながりますが、やはりスピード感は大切です。

現代では機能的表示食品は主流になっているのは、こうした点が大きく関わっています。

機能的表示食品の届出は丁寧確実に

機能的表示食品として販売される商品は年々増えています。それは従来の保健機能食品よりも許可までの手順が分かりやすく、「できるだけ早く販売したい」という事業者の内情を汲んだものになっているからです。許可までの手順が簡素ということは、必要な費用が低く抑えられるという長所にもつながっています。

簡素といってもエビデンスなどの必要書類は厳しくチェックされるので、不備なく届出することが大切です。